2022.08.17

受注を呼び込む導入事例の作り方【無料テンプレート公開中】

  • 導入事例
受注を呼び込む導入事例の作り方【無料テンプレート公開中】

導入事例は、製品やサービスを導入した実際の顧客が「選定の理由」、「導入の決め手」や「導入効果」を紹介するコンテンツです。課題が顕在化した見込み客にとって、実際の顧客が課題解決した「実例」を紹介する「導入事例」は、製品やサービスの選定において示唆とヒントに富んだ道標となります。

製品やサービスの導入を検討している見込み客の情報ニーズに応えた内容が網羅された導入事例は、引き合いや案件の創出をアシストする効果を期待できます。

本記事では、受注を呼び込む導入事例の作成方法について、デザインとインタビューのテンプレートを交えながら公開後の活用方法まで詳しくご紹介します。導入事例制作に関するセミナー動画や講演スライドを公開しています

年間40件の導入事例を内製してきた元本部長が共有する効率的な導入事例の作り方

導入事例とは?

導入事例とは、製品やサービスを導入した実際の顧客が「選定の理由」「導入の決め手」や「導入効果」や「感想」などを顧客自身の肉声として語ります。そのため、その導入事例を読む買い手の立場として共感しやすく、高い納得感を得やすいコンテンツです。GAXマーケティングとアイティメディアの調査によると、製品やサービスの導入を検討している見込み顧客は「導入事例」を重視しています。導入事例は、製品やサービスの「稟議申請」段階で最も重視されています

導入事例とは「稟議申請」段階で最も重視されるコンテンツ

なぜBtoBでは導入事例が効果的なのか?

顕在化した課題の解決策を探している見込み客にとって、実際の顧客が課題解決を成し遂げた「実例」である「導入事例」は、製品やサービスの選定において、示唆とヒントに富んだ道標となります。

クチコミを見つけにくい、BtoB製品やサービスにおいて、「導入事例」は、身近でリアルな先達の知恵、サクセスストーリーと言えます。だから「導入事例」が効くのです。

顧客目線のリアリティと説得力

導入事例は、顧客が抱えていた課題の内容、解決策の模索、比較検討と評価選定、導入後の感想などが顧客自身の肉声として一人称で語られます

顧客自身が課題を克服した「リアル」が記され、なおかつ文面には「お墨付き」や「保証」がにじんでいます。同じことを「売り手」が言っても説得力がないのは、それらが欠如しているからです。

「うちが抱えている課題と同じだ」「そうだ。そこでうちも悩んでいる」。導入事例を買い手が自身の立場に置き換えて読み進める過程でそんな気づきを与えられたら、顧客との距離はもうその時点で縮まっています。
顧客が読みたい導入事例は、自社と同じような顧客が、同じような課題を解決した導入事例です

導入事例は「稟議申請」で読まれています

GAXマーケティングとアイティメディアの調査によると、導入事例は、製品・サービスの導入検討の「稟議申請」段階で最も読みたいコンテンツフォーマットとして選択されました。
製品やサービスの「稟議申請」段階で、最も読みたいコンテンツフォーマットに「導入事例」が選択されました

今さら聞けない「導入事例とは?」なぜ導入事例が必要なのか、導入事例の書き方、導入事例の効果について

導入事例では、「選定ポイントと選定理由」を重視

先の調査によると、導入事例では「選定ポイントと選定理由」が重視されていることが明らかになりました。

公開されている導入事例の多くに「選定ポイントや選定理由」が含まれていないと、GAXマーケティング 代表の佐藤岳は述べています。

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製品・サービスの導入検討に関する アンケート調査報告書

GAXマーケティング株式会社は、アイティメディア株式会社の共同で、製品サービスの導入検討に関するITmedia読者を対象としたアンケート調査を行いました。

調査概要

  • テーマ 製品・サービスの導入検討に関する調査
  • 調査手法 オンラインリサーチ
  • 調査対象者 アイティメディア 読者会員
  • 総回答数 520
  • 有効回答数 375
  • 調査時期 2023110日(火)〜115日(月)

調査結果レポート

 

製品・サービスの導入検討に関する アンケート調査報告書のダウンロード
https://www.g-ax.jp/download/itmedia-report

導入事例が引き合いや受注を呼び込む

導入事例が具体的で共感を呼ぶものであればあるほど、売り手としては、事例を読んだ別の顧客の引き合いや受注が期待できます。最もシンプルで効率的なのは「導入事例の内容と同じことをやりたい」という問い合わせです。

「事例と同じことをやりたい」という引き合いであれば、この時点の顧客は自ら学習し、すでにリサーチ、比較検討、選定を終えています。つまり「指名」で問い合わせてくるケースが大半です。もうこの時点では競合比較も済ませ、相見積もりも必要ありません。

導入事例のタイアップ記事広告から受注したケース

受注を呼び込む導入事例の作り方

効果的な導入事例といっても、やみくもに量産して列挙すれば良いわけではありません。その導入事例を通じて自社の強みやオリジナリティ、サービスや理念などを顧客の立場から、
顧客自身の言葉で表現してもらうことが肝心です。

なぜなら、課題を抱える見込み客は導入事例を通じて、事例で登場する会社がどんな方法でその課題を解決したのかに関心があり、もっと深く知りたいと思っているから。顧客の声で語られる導入事例は見込み客にとっては、最上のケーススタディと言えます。

逆に言えば、売り手としては、自社の強みや評価が伝わりやすい、読んでほしい顧客の事例を選別して取材依頼することが重要になってきます。導入事例制作までに踏むべきプロセスを以下の4段階に整理します。

導入事例制作にあたり社内関係者との意識合わせするためのシート - Google ドキュメント

受注した顧客の傾向を確認、可視化

  • まず導入事例を作りたい製品・サービスの顧客リストを作成します
  • 次に、顧客リストに、業種、規模、地域、製品・サービス、用途、契約数量や期間を記載します
  • 業種、規模別で集計します
  • 導入されている企業属性の傾向を確認する
  • 企業属性の傾向の背景を確認する
  • 利用用途で集計します
  • 製品やサービスで用途が異なる場合は、用途別でも集計します
  • ある程度傾向が見えたら、マトリックスに顧客名を記載してまとめてみます

受注顧客の傾向を可視化(集計)した例

取材すべき顧客を10社抽出

  • 導入事例を作りたい顧客をピックアップ
  • 顧客のプロフィール
  • 商談までの経緯
  • 商談時に顧客からどの様な質問がありましたか?
  • どの様な情報を提供しましたか?
    →これらが導入事例に盛り込むべき要素となります。

導入検討の振り返りシートを用いて、商談に携わった担当者、関係者に確認し、その結果をまとめていきます。以下の「振り返りシート」をご活用いただければ、取材のポイントがあらかじめ整理され、導入事例の骨子が固まります。

【製品・サービス導入経緯の振り返りシート】XLTXファイルをクリックしてダウンロードできます。
受注案件の振り返りシートをGoogleスプレッドシートでも公開しています。

自社の強みを際立たせる見せ方を検討

  • 導入経緯の振り返りシートから、導入事例で強調するポイントを検討します
  • 振り返りシートで営業活動の過程でヒアリング「できていること」と「できていないこと」を識別します
  • 顧客の課題の傾向や課題の共通点、自社の製品・サービスが選ばれる理由の傾向を把握します
  • 導入事例の分類方法(業種や用途)なども検討します
  • よくある分類は、製品やサービス別の分類ですが、業種別や利用シーン別の分類も有効です

導入事例テンプレートを業種別で色分けしている例

リード数は1.5倍へと成長。お客様、営業担当からも喜ばれる「導入事例」はいかにして生まれたのか? 

導入事例に盛り込む要素を精査

受注を呼び込む導入事例テンプレートとは?

受注を呼び込む導入事例テンプレートGAXマーケティング株式会社の顧客導入事例テンプレート(PPTXファイル)をクリックしてダウンロードできます。汎用性が高く、すぐに使える基本テンプレート。ぜひご活用ください。

導入事例に必要な構成要素とは

導入事例を作るにあたっては、必ず盛り込まなければならないいくつかの要素があります。以下に代表的なものを整理しますが、特に強調したいのが、導入事例の肝になる「選定ポイントと購入の決め手」です。

導入事例に必要な要素ところが、世の中に公開されている事例は「選定ポイントと選定理由」が盛り込まれていないことが実は多いのです。これでは不完全な事例と言わざるを得ません。顧客が最も知りたいことは「選定ポイントと選定理由」です。

これによって、事例の読み手は、自社に置き換えて同様の課題へのブレークスルーを具体的にイメージすることができ、かつ選定しやすくなります。

導入事例に盛り込むべき構成要素を改めて整理します

  • どんな顧客なのか?
    • 導入事例の分類(業種、訴求軸、製品・サービス)
    • 導入企業の基本情報(業界・業種・従業員規模・地域など)
    • インタビュイー(取材対象)の基本情報(役職・部署・氏名など)
    • キービジュアル(顧客提供写真でも、取材時に撮影でも可)

  • 顧客の課題は?
    • 導入検討の背景
    • 顧客が直面していた課題
    • 製品・サービスで解決した内容

  • 選定ポイントと購入の決め手は?
    • 選定ポイント
    • 選定理由

  • どのように使っていますか?
    • 使い方や活用法
    • 使ってみての感想

したがって、導入事例の構成要素をシンプルにまとめると以下のような文脈で整理することが可能です。顧客がバリュープロポジションを説明してくれます

構成要素を網羅した導入事例

受注を呼び込み、成果につながる構成要素を盛り込んだ導入事例とはどんなものなのでしょうか。その代表例をここで紹介します。いずれも、顧客のプロフィール、顧客の課題と売り手の提案・サポート解決、ソリューションの概要、選定ポイント、提供内容、導入後の感想が網羅しています。

1. 動画配信サービスで初心者フォローをスムーズにしたアドビの事例

写真家やデザイナーといったプロ向け製品「Adobe Photoshop」「Adobe Illustrator」などで圧倒的シェアを誇るアドビCreativity For All」を掲げて販売方式を売り切りからサブスクリプションに転換、顧客のすそ野を広げました。

初心者をサポートするために無料の「ことはじめオンライン講座」を2017年から運営。ネクプロを活用し受講申し込みから事後アンケートまで、ワンストップで実現。1講座につき500人ほどで、その90%近くから「満足」「とても満足」との評価を得ています。

老舗リーダー企業が語る導入理由、選定の決め手は格段の説得力があります。

Adobe ; アドビによるネクプロ導入事例 - 初心者向けクリエイティブ講座をネクプロで配信 受講者の90%が「満足」導入事例:IT・情報通信 |アドビ株式会社 様 | 初心者向けクリエイティブ講座をネクプロで配信 受講者の90%が「満足」 | ウェビナー開催・オンライン配信のネクプロ

2. 茨城県五霞町によるメール無害化ソリューション事例

茨城県の西南端に位置し、人口8158人、3384世帯が暮らす小さな町、五霞町の町役場。住民の情報を取り扱う職務性質上、高度な情報セキュリティ対策を導入していましたが、メール1通あたりの確認作業に5分を費やしており職務上大きな課題でした。

五箇町役場は、サイバーソリューションズのメール無害化ソリューションを導入したことで対策コストを4割減しつつ年間2万5000時間を節約できるようになりました。

自治体特有の課題や解決策を分かりやすく語っていただいたことで、同事例は他の多くの自治体からの引き合いに繋がっています。

茨城県五霞町 - メール、ファイル無害化の作業負担がゼロに、PPAP対策も万全に、業務効率が格段にアップ茨城県五霞町 - メール、ファイル無害化の作業負担がゼロに、PPAP対策も万全に、業務効率が格段にアップ

3. ミサワホームによるRPA、シェアードサービスの導入事例

直面していた3つの課題、導入後の成果、導入の決め手がコンパクトに整理され、見やすいチャートで強調されています。「お客様の声」には「これまで2週間かかっていた決算作業が1週間に短縮できている」など具体的な成果が反映されています。さらに、選定ポイントと選定理由が明確に述べられています。

「経理財務シェアードをプロジェクト発足から支援」ミサワホーム株式会社様 | 事例 | ビジネスブレイン太田昭和様(BBS)

ミサワホーム株式会社様 | 事例 | ビジネスブレイン太田昭和様(BBS)

4. 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ Salesforce マルチクラウド導入事例

名古屋を拠点とするプロバスケットチームでのクラウドソリューションの導入事例です。まず事業を象徴するキービジュアルで読者の目を引き付け、「バスケットボールチームでの導入事例である」ことを直感的に表現しています。

Salesforceの導入による成果を「来場者数前季比123.6%」と具体的な数字で強調しています。「お客様の声」では、マルチクラウドで貯めたデータを「攻め」の施策に生かす好循環について語られています。 

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ株式会社 | toBeマーケティング株式会社
Salesforceの「マルチクラウド」でマーケティング基盤を運用、LTVと再来場率を大幅に向上。スポンサー向け(BtoB)にも活用

5. 内田洋行 によるWeb会議カメラ導入事例

テレビ会議システムを扱うアバー・インフォメーション様での導入事例です。

この事例の最大のポイントは、取材先を内田洋行に選定した点です。同社では30年前からテレワークの実証実験を行い、多様な働き方の実現に向けて試行錯誤してきた経緯があるため、「テレワークの先駆者」として語られる導入理由、選定の決め手には格段の説得力があります。

コロナ禍でのオフィスの在り方の変容はタイムリーな話題であり、当時のBtoB企業にとっては大変共感を得られる切り口でした。「自己実践して最良のものを、お客様に提案」と顧客に語ってもらい、違和感なく製品情報に導くストーリーになっています。

株式会社内田洋行 導入事例 | アバー・インフォメーション株式会社

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受注を呼び込むBtoB導入事例の制作プロセス

「導入事例の取材を依頼する方法がわかりません」「依頼しても協力してくれないお客様が多い」などといった声をいただくことがあります。安心してください。正しいプロセスで導入事例の取材を依頼すれば、8割のお客様が取材に応じていただけます

導入済みのお客様に改めて取材のアプローチをすることは「売りっぱなし」状態を回避し、顧客満足度を再確認するアフターフォローの機会にもなります。

導入事例によって取材先企業様の先進的な取り組みを表現することで、イメージ向上にもつながるため、他社に先んじて導入を進めた顧客が「導入事例」に登場することで、その業界内の先駆的ポジションを改めて印象付けられるような内容になれば理想です。

導入事例は「鮮度」も重要で、内容が古くなりすぎないように一定期間を置いて再取材し、アップデートしていくことも有効です。

以下では、依頼→打ち合わせ→取材・撮影→確認→公開といった導入事例の制作プロセスの一連の流れを紹介します。導入事例の作り方「導入事例の取材依頼のアポ」が大事

導入事例の取材依頼

導入事例制作の進め方

  • 導入事例に関する取材依頼状をメールでお送りしましょう
  • その際には、取材依頼に関する打ち合わせも打診し、具体的な日程案の記載も忘れずに
  • 取材依頼の際には、依頼状の内容を具体的に説明します
  • 可能であれば、別の導入事例の実例を示します
  • お打ち合わせの後に顧客からのご連絡を待ちましょう

導入事例の取材依頼状テンプレート

導入事例の取材依頼レターサンプル

取材に関する打ち合わせ

  • 送付済みの取材依頼状を顧客の担当者に見ていただきながら要点を説明します
  • 自社と顧客のに双方のメリットになる導入事例の制作であることを強調します
  • 可能なら既存の導入事例サンプルを示し、アウトプットイメージを共有します
  • 課題、導入検討の経緯、選定ポイント、利用用途、効果、自社への評価、期待すること、強調すべき訴求点などを事前に担当者とすり合わせしておきます
  • 製品・サービス導入のビフォー&アフターを一貫して語れるインタビュイー選定を依頼、質問内容を事前に共有します
  • 企業ロゴ、キービジュアルにふさわしい写真の提供、撮影も依頼します
  • 取材から完成までのスケジュールを共有します

取材・撮影

  • 質問内容に沿って質問します
  • インタビューカット撮影も行います(右前、正面、左前、真横など)
  • 利用シーンの撮影は現場に出向くことも一考。再現していただく場合も
  • 取材と撮影は顧客の都合を優先し、別の日でも構いません
  • 原稿は初稿、第2稿、念校をやりとし、3ステップで確認 

公開と配布

  • 自社のホームページで公開、公開日を事前に連絡しておきます
  • 公開したら、顧客のサイトからもリンクを依頼します
  • 取材先の顧客へ印刷物を10部ほど持参(送付)しお礼を伝えましょう
  • 営業が事例パンフレットを持参してお礼を述べたり、郵送して届いたタイミングでお礼の電話をすることもとても重要です
  • 成果物の感想を確認しましょう

導入事例インタビューのテンプレート

顧客への取材アポが無事とれたら、顧客の社内関係者と当日どのようなインタビューを行うかについて打ち合わせをしましょう。お互いの意識を合わせるために以下のシートに沿ってヒアリングしておくと取材がスムーズに進みます。

お客様プロフィール

  • 会社概要を教えてください。Webサイトのどこを引用したら良いですか?これらの情報で間違いないでしょうか?
  • 事業概要を教えてください
  • インタビュイーの所属部門の役割を教えてください
  • インタビュイーの業務上のゴールを教えてください

導入検討の背景

  • 製品・サービスの導入を検討したきっかけや背景を教えてください?
  • どこで、どのような情報を収集しましたか?
  • その中で役に立った内容は何でしたか?印象に残っていることは?

製品・サービスの選定について

  • 取材先の製品・サービス以外に、比較検討された製品・サービスを教えてください
    (事例では公開しません。ヒアリングだけです)
  • 製品・サービスの選定時に重視したポイントを教えてください
  • 製品・サービスの選定時の決め手を教えてください

 製品・サービス導入時の取り組み

  • 導入開始時期、利用開始時期を教えてください
  • 導入時の自社向け設定構築時、利用開始時の苦労はありましたか
  • その際の支援を受けた内容はどんなものでしたか
  • 支援内容についての評価、感想を教えてください

ご利用状況と導入結果や成果

  • 導入の効果を教えてください。具体的なデータ、シーンでご提示いただけますか
  • あるいは期待される効果への手ごたえはどんなものですか
  • 課題を解決した際の自社製品、サービスの価値、評価、印象は
  • 活用法や気に入っているポイントはどんな点ですか
  • 社内のフィードバックはどんなものでしたか

メッセージ

  • 同様の悩み、課題を抱えている企業、担当者へのメッセージをお願いします

導入事例の活用法

BtoBで導入事例を積極的に作っている会社が増えています。しかし、せっかく作った導入事例をフル活用できているでしょうか。次なる戦略は「展開」「転用」です。

1つの導入事例が「点」だとしたら、それを「線」にし、いずれは「面」にしていくためにさまざまな展開が可能になります。うまく展開できれば、導入事例は「メディア」として独立し、加速度的な拡散が期待できます

 

「導入事例」から案件創出や受注獲得などの成果を出すには?

印刷して初回訪問で紹介

印刷物であることの最大の利点は、「回覧される」ということです。実際にGAXが導入事例制作をご支援しているパナソニック・ソリューションテクノロジー株式会社様では、取材先のお客様から「導入事例を100部ください」と申し出があり、お客様とつながりのある同業他社に配布していただくという新たな展開が生まれました。

同業他社は、まわりの企業が導入しているということを知ると「自社も導入しなくては」という心理にかられます。そして、導入事例は導入決定の後押しとしても有効です。そうした機会を逃さないためにも、導入事例は印刷物として用意すべきなのです。

  • 印刷物が大事、営業活動で持参
  • DM発送
  • 展示会やセミナーで配布
  • 顧客の業種や課題に沿った事例を持参して説明する
  • 顧客自身の声なので説得力が違う

プレスリリースを配信する

  • プレスリリースは、5W2H(How と How Much?)とポイントを読みやすくまとめる
  • メインビジュアル、利用シーンの図版、導入プロセスや利用方法を掲載

導入事例のプレスリリースの書き方|配信する3つのメリット&配信事例3選【PR TIMESテンプレート】 | PR TIMES MAGAZINE

導入事例PDFダウンロードフォームを設置

  • 見込客を取得する
  • 取得する情報はメールアドレスのみ

https://jp.vcube.com/case/19301.html出所:さいたま市消防局 様 | オンラインイベント・ウェビナー・Web会議ブイキューブ

街を守る消防の最前線が“映像共有”でスマート化 「無線だけでは伝わりにくい情報を瞬時に共有できる」 - ITmedia NEWS

ダウンロードした事例と同様の事例を自動で紹介

  • 導入事例PDFをダウンロードしたお客様に、同じ業種の導入事例をご紹介するメールを自動で配信する
  • 導入事例紹介メールは、1つのメールで1つの事例を紹介する
  • 事例紹介メールは1日1通とする
  • 見込み客が他の事例をダウンロードしたら、その事例に関連する事例紹介メールを送信する
  • 見込み客が、事例以外の資料ダウンロード、セミナー申し込みや問い合わせをしてきた場合にはその時点でメールの自動送信を停止する

「大学」導入事例の紹介メールのクリック率について来訪者と同様の事例をWebページで表示

  • CRMでは、見込み客の業種情報を格納しておく
  • 見込み客がWebサイトへ来訪されたら、そのお客様と同じ業種、同じ地域の事例を紹介するバナーを自動的に表示する
  • 事例ページに誘導してPDFダウンロードを促す

来訪者と同じ「地域」の導入事例を表示-1来訪者と同じ業種の導入事例を表示

導入事例アップデートで同業種の案件数が増加。お客様からは「100部ください」と言われる導入事例の中身とは?!

DM発送に利用する

  • まだお取引がない企業の社長様宛に、同じ業種の成功事例として複数のお客様の導入事例を郵送する。導入事例の送付状もきちんと準備する

展示ブースのパネルで掲載

  • 展示会のブースで、お客様事例のサマリーをパネル展示する
  • 複数の事例をパネルで並べることで、同じ課題を持つ企業の興味関心を引くことができる

メディアとのタイアップ記事広告で紹介

  • 導入事例の内容をメディアとのタイアップ記事広告として紹介する
  • 導入事例のタイアップ記事広告を見たことをきっかけに導入事例ページへ来訪され、新規の見込客獲得につながる

関連:記事広告で成果を出すメソッドを事例を交えてわかりやすく解説

解決策の探索で導入事例がリード獲得に貢献した実例

2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言に伴い、多くの企業や組織がテレワークを導入しました。従来、オフィスや事務所に集まって執務する形態から自宅でのテレワークにシフトしたことで、戸惑った方も多かったことでしょう。

今回ご紹介するケースは、テレワークによりコミュニケーションがうまくいかないという問題が顕在化した中小企業の社長様から、テレビ会議システムを活用した事例をご覧になってお問い合わせいただいたケースをご紹介します。

顕在化した課題の解決策の探索で導入事例を参考にしたケース

テレワークにより、雑談が出来なくなって困った社長様から、以下のような問い合わせをいただきました。

K09-013

この社長様が問い合わせするまでに、いつどこを経由してどのWebページに辿り着き、どのページをご覧になったのか、Webアクセスログから確認してみます。

Google 自然検索 -> ブログ記事へ来訪

いつ?:2020年7月18日 午前6時13分
どこから: Google /自然検索経由で
どうした?:在宅勤務社員のサボりを防ぐというテーマのぺージに来訪

このページは当時「在宅勤務 サボり」という検索クエリで2位に表示されていました。

K09-014この記事では、従来、同じ時間にオフィスなどの同じ場所で一緒に働いていた人々が、在宅勤務やテレワークになることで、働きぶりが見えなくなる課題や不安が生じ、気軽な雑談や相談ができなくなったことで、簡単に決まっていたようなことにも時間がかかるようになったという課題を解決するための手段として、Web会議を常時接続する「空間共有」という使い方を提案しています。

Google 自然検索 -> 記事広告へ来訪

いつ?:2020年7月19日 午前8時22分
どこから: Google /自然検索経由で
どうした?:「空間共有」に関するタイアップ記事広告へ来訪

このページは当時「空間共有」という検索クエリで2位に表示されていました。

K09-015

自然検索 -> ブイキューブのコーポレートサイトへ来訪

いつ?:2020年7月19日 午前8時23分
どこから: Google /自然検索経由で
どうした?:ブイキューブのコーポレートサイトのトップページへ来訪されました。

タイアップ記事広告 -> 2社の導入事例を閲覧 -> 問い合わせ

いつ?:2020年7月19日 午前8時24分
どこから:タイアップ記事広告から
どうした?:2社の導入事例ページへ来訪
タイアップ記事広告のテーマ「空間共有」に関連する、2社の導入事例ページに来訪されました。

K09-016

解決策を探している過程で導入事例を閲覧し問い合わせ

このお客様の問い合わせ内容と閲覧履歴から、社長様ご自身が抱えている課題の解決策を探している過程で具体的な解決策を認識し、その解決策の「導入事例」を閲覧したことで、問い合わせに至ったことが分かりました。

課題が顕在化

ニーズ:「テレワーク実施」で従業員の働きぶりが見えない
行 動:「在宅勤務 さぼり」キーワード検索
結 果:働きぶりを見える化する「空間共有」を知る

解決策の理解、解決策の導入事例を読む

ニーズ:解決策と思われる「空間共有」について知りたい
行 動:「空間共有」で検索
結 果:「空間共有」について解説した記事広告を読む
   記事広告からリンクされている導入事例を読む

自社の課題を解決できるか問い合わせ

ニーズ:テレビ会議システム「空間共有」で課題解決できるか?
行 動:問い合わせ

まとめ

導入事例は、製品やサービスの製品・サービスの導入検討の過程で参考にされる手段であり、内容面では「選定のポイント」と「選定の理由」が重視されています。一般的には、自社と同じ業種で、同じ課題を解決した事例が3〜6件ほど読まれるケースが多いようです。

導入事例は、導入されたお客様自身が売り手側企業に代わってそのバリュープロポジション(競合企業では提供不可能な、自社ならではのお客様への提供価値)を説明してくれるコンテンツであることから、引き合いや受注の創出に直結します。是非、皆様も実践してみてください。

顧客の購買行動を理解する上でののおすすめ記事

「導入事例の作り方」ウェビナー動画と資料を公開

GAX代表 佐藤 岳は、前職の株式会社ブイキューブにおいて2016年6月に導入事例をリニューアルし2020年12月までに137件の導入事例を制作しました。

導入事例の制作プロセスを整備し、計画的に進めることで大きな成果を得られます。このウェビナーでは、導入事例の制作方法から見込客の創出方法までの実際の進め方をご紹介します。

このような方におすすめです

  • 導入事例を効率的に作成する方法を知りたい方
  • 製品やサービスの認知度を向上したい方
  • 新規の見込客を創出したい方
  • 導入事例を商談や受注につなげたい方

「導入事例の作り方」ウェビナーの内容

  • 自己紹介
  • 2015年 入社当時の課題と5年間の取り組み(概要)
  • なぜ導入事例が重要なのか?
  • 導入事例に欠かせない要素とは?
  • 導入事例の制作プロセスについて
  • 導入事例を活用して成果を出すために
  • まとめ

おすすめの視聴方法

セッションの講演時間は約40分です。全編を通してご覧いただければ嬉しいですが、ご興味があるポイントだけを視聴することもできます。そこで、必要なポイントを把握できる視聴方法をご紹介します。

  1. セミナー講演資料スライドで内容を確認する
  2. 気になったスライドのページ番号をメモ
  3. 目的のスライドのページまで動画を先送りし試聴

「導入事例の作り方」ウェビナー資料(74ページ)

「導入事例の作り方」ウェビナー動画(約40分)

 

 

原田 亜紀夫

上智大学外国語学部英語学科を卒業後、1995年電通入社。主に外資系飲料メーカーのブランド担当営業としてスポーツドリンク、ミネラルウォーターのキャンペーン戦略立案を主導した。2002年朝日新聞社に記者職で転職。スポーツ部記者として国内・海外を幅広く取材し、リオデジャネイロ五輪では現地取材班キャップを務めた。2020年秋、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会に入会し、ホッケー会場のVGM(ベニュー・ゼネラルマネジャー)に。2022年夏よりGAXマーケティング参画。1972年北海道函館市生まれ。8月13日「函館夜景の日」発案者として現在も「はこだて観光大使」を市から委嘱されている。