2021.01.12
セミナーご来場者様から3週間後に注文書が届き予算達成した件
- BtoBマーケティング
私は、2015年11月21日にブイキューブへ入社しました。入社当初、当時の常務取締役CRO 営業本部長から依頼されたことは「テレビ会議サービス V-CUBE Box(ブイキューブボックス)が売れなくて困っている。なんとか売れるようにして欲しい……」というものでした。
当時のブイキューブの営業とマーケティングでは、次の3つの課題がありました。
- やりっぱなしのマーケティング施策
- マーケティングの商談への貢献度が不明確
- 営業部門とマーケティング部門の壁
この状況にして冒頭の悩み、私は、正直にこれは営業とマーケティングを改革するチャンスだと思いました。そこで本記事では、営業とマーケティングの連携強化やお客様を理解する実際の取り組みをご紹介します。
入社3週間後にペルソナ、カスタマージャーニーワークショップを開催
私は、2015年3月、2015年9月、2016年6月にかけて3回開催された、日経デジタルマーケティング主催 BtoBデジタルマーケター養成講座にて、講座を企画した高広さんに誘われ3回とも講師として参加しました。講座は4日間にわたって開催され、前半は外部講師による講演、後半は高広さんの講座を4日間で受講していくスタイルでした。講師は4日間とも受講しても良いとの許可をいただき、拝聴させていただきました。
そして、その講座で学ばせていただいた、BtoBマーケティングにおける根本的で本質的な考え方を今こそ実践してみようと考え、ブイキューブ入社3週間後にペルソナ、カスタマージャーニーワークショップを開催することを決意。
なお、テレビ会議サービス「V-CUBE Box」を売れるようにするには、それを購買される方の人物像=ペルソナを定義し、購買行動プロセスと情報ニーズ=カスタマージャーニーを作成し、それに沿ったコンテンツを作成、発信、展開していく必要があります。
BtoBマーケで成果が出ない理由「組織でお客様を理解していないから」でもお話しましたが、マーケティングメンバーだけでそれを作成しては結果につながりません。そこで、私は、営業、製品企画、マーケティングの人たちが集っている社内チャットのチャンネルに、「V-CUBE Box」を売れるようにするために、ワークショップを開催するので、興味がある人は参加してくださいと、と告知しました。それぞれの部門から10名の有志が集まりワークショップを開催しました。
ワークショップの全体の流れは次の通りです。2015年12月10日(木)午後に「お客様の購買行動について理解する講義」を行います。ここで、ご自身の購買行動を振り返り、ZMOTやSelf-Educating Buyer といったお客様の購買行動の話からペルソナやカスタマージャーニーの考え方や作り方を説明しました。
最後に、テレビ会議システムを購入されるお客様のペルソナとカスタマージャーニーを各自作成するように宿題を参加者に出しました。しかも提出期限は、翌12月11日(金)19時にしました。その翌日12月12日(土)午後に、提出された宿題を各自発表した上で、ペルソナやカスタマージャーニーのすり合わせを行いました。
平日に開催したため、会議室でリアル参加できないメンバーのためにV-CUBE セミナー(Webセミナーサービス)で開催し録画しました。リアル参加できないメンバーはオンデマンドで内容を確認できます。
営業と製品企画、マーケティングで一緒にペルソナ、カスタマージャーニーを作成
2015年当時のテレビ会議市場の市場のCAGR(年平均成長率)は数パーセントと横ばいでした。横ばいということは成長することもなければ、減少こともないのです。テレビ会議システムは、2011年の東日本大震災をきっかけに普及しました。導入から5年経ち、テレビ会議を導入するお客様には行き渡ったというのが当時の市場についての見解でした。
その様な市場環境を踏まえ、ワークショップに参加したメンバーで、ペルソナやカスタマージャー二ーをすり合わせてみても「テレビ会議システム」の購入検討は、新規導入ではなく、既存のテレビ会議システムの保守期間が終了したり、故障したり、拠点を増設したいといったニーズをきっかけに検討がスタートすることが分りました。要は「既存システムのリプレイス(入れ替え)」が検討のきっかけでした。
実際に作成したカスタマージャーニー
そのようなお客様は、テレビ会議システムを導入した後の市場動向を把握していませんので、最新の市場動向や、自社のネットワークに導入できるのか、コストはどうなのか、といった情報ニーズがあることが分りました。また、SaaS企業であるブイキューブが提供するテレビ会議という機器を提供することに対する不安感もお客様にはあることが分りました。もちろん、導入実績であるお客様事例も必要です。
みんなで作ったカスタマージャーニーの「ご提供する情報」欄のコンテンツのストーリーや骨子を関係者で意識合わせしてから作成していきました。また、自社で制作するだけではなく、遠隔会議システムの専門アナリスト CNAレポート・ジャパンの橋本氏にレビューを依頼し検証レポートを作ってもらいました。
2015年〜2016年当時、作成したコンテンツ一覧
- 失敗しないテレビ会議の選び方
- 従来コストの1/3でテレビ会議システムを拡張するには?
- 従来比1/3のコストでリプレース! 今「テレビ会議」を見直すべき理由 - 複雑&高額は過去の話! 遠...:日経クロステック Active
- 「まだ使えるから大丈夫!」サポート切れテレビ会議システム使い続けるリスク
- テレビ会議「選定」の早道。体験セミナーだから入手できる情報とは?
- テレビ会議・ビデオ会議システムの運用コスト、どうすれば削減できる?
- 会議室設置型テレビ会議システム「V-CUBE Box」の設置・操作の“簡単さ”を検証する
- V-CUBE Box テレビ会議システムとの相互接続を実現
- V-CUBE BoxとPolycom HDX8000を接続し、テレビ会議と資料共有ができるのか検証(前編)
- V-CUBE BoxとPolycom HDX8000を接続し、テレビ会議と資料共有ができるのか検証(後編)
- V-CUBE Box を使ってみる。 開梱、テレビ会議の開催、他社テレビ会議との連携
- 失敗しない「Web会議」、「テレビ会議」の選び方徹底解説セミナー
- テレビ会議システム「V-CUBE Box」体験セミナー
メール配信をきっかけにお問い合わせが発生、初回アポで見積を依頼される
ワークショップでまとめたコンテンツを作り公開したり、セミナー開催する日々の2016年の1月13日。他社製のテレビ会議システムと連携できる機能が提供開始されたことをお知らせする以下のメールを配信しました。
[ 新機能 ] テレビ会議のリプレイスや拡張をご検討中の方 必読 平素より弊社メールマガジンをご覧いただき誠にありがとうございます。 編集部 中森です。 今回は、テレビ会議システムの入れ替えや、拠点の拡張をお考えの方に役立つ情報をお届けいたします。 テレビ会議システムは高い?! まずは テレビ会議 導入済みの企業さまからよくお聞きする、お悩みの声をご紹介したいと思います。
以上のように、一般的に“テレビ会議システムの導入コストは高い” ので、 拡張やリプレイスのコストに課題をお持ちの方が多くおられます。 <そこで朗報です!!> 弊社テレビ会議システム「V-CUBE Box」の新機能をご利用いただくと、上記のようなお悩みを解決できます。 詳しくは、以下のページをご覧ください。 |
このメールを配信した当日、メールをご覧になったお客様からお問い合わせをいただきました。その内容は次の様なものでした。
「テレビ会議システムの連携」に関するのメールを見て、問い合わせした。 課題:LifeSize社とAVer社のテレビ会議システムを所有している。Web会議システムに興味はあったのですが、導入検討には至らず。 今回のメールニュースをみて、テレビ会議とWeb会議が連携が出来るということで問い合わせした。LifeSize社のテレビ会議システムは既に老朽化が進んでおり、1~2年でリプレイスは検討しようかなと思っている。 また環境の変化によりテレビ会議専用機ではなく、Web会議も検討してみたいとは考えている。 |
お客様のテレビ会議システムはインターネットに接続されている、とのことなので、訪問時に実際のデモをご提案したところ、ご快諾いただきました。
2016年1月20日にお問い合わせいただいたお客様へ訪問。お客様の会議室のテレビ会議システムへ当社のサービス接続し、実際に会議を実演させていただきました。
デモをご覧になったお客様は、当社のサービスについて、画質・音質ともに申し分なくとても良い!と大変お褒めいただきました。
さらに、その初回訪問時に、既存のテレビ会議システム 30台をブイキューブに切り替えたい。Web会議も一緒に利用したい。3月に予算申請するので提案と見積もりが欲しいとのいうフィードバックをいただきました。
まさに、関係者で一緒に作ったペルソナのニーズ通りのお問い合わせが発生し、初回訪問で見積もりを依頼されるというとても効率的に案件が創出できたのです。
これは、お客様からのお問い合わせに対応し、アポイント設定してくれたインサイドセールスのたかぎ ゆうこが、訪問した営業からのフィードバックされたととても喜んでいたので、私自身とても印象に残っています。
体験セミナー、参加者の半数は案件化、セミナー受講の3週間後にご注文いただく快挙
また、テレビ会議サービス「V-CUBE Box」体験を実際に試すことができる体験セミナーを開催しました。すると、来場されるお客様の約半数が案件化する傾向にあります。参加人数は開催日によって異なりますが、参加者の案件化率は平均5割でした。
V-CUBE Box体験セミナーの様子。
各テーブルに端末を設置しお客様に操作を体験していただく
参加企業の半数が案件化。東京、名古屋、大阪でも同じ傾向
さらに、2016年2月24日に開催されたV-CUBE Box体験セミナーにご参加されたお客様から、2016年3月14日に注文書が届きました。そのお客様を担当した営業担当は、その時点で2016年上期(1月-6月)の予算目標を達成しました。最終的に彼は予算目標を200%達成します。
V-CUBE Box体験セミナーは、実際に製品を触ってみたい、試してみたいといったニーズをお持ちの「評価選定」のお客様を対象にしていました。まさに、自分たちが作った、カスタマージャーニーとお客様の行動やニーズが一致していたことが明らかになりました。
「評価選定」フェーズのV-CUBE Box体験セミナー
ブイキューブ社内でのこの体験をきっかけに、製品企画、営業、マーケティングの主要メンバーでは、「ペルソナ」や「カスタマージャーニー」という概念とフレームワークが浸透していきました。新規に提供開始した製品やサービスの売れ行きが芳しくないと時に、製品担当から相談され、このようなワークショップを開催し、ペルソナを作り、コンテンツ作成し、お客様事例を作り、ペルソナにコンテンツを届ける活動を行うことで、自ずから売れていく状況をいくつも実現してきました。
ぜひ、製品やサービスの商談や案件が思った様に作れない、といった課題をお持ちの方は、関係される皆様と一緒にペルソナやカスタマージャーニーを作りを通じてお客様理解を深めていかれることをお勧めします。
成功の要因は、関係者全員でペルソナ、カスタマージャーニーを作ったから
ここまで、私がブイキューブに入社してから、テレビ会議サービス V-CUBE Boxを売れる様にするために、取り組んできたことをご紹介しました。
改めて整理してみると、お客様の購買行動について関係者で理解する。テレビ会議を購入するお客様は、なぜ購入するのか、お客様は従来のテレビ会議にどのような課題をお持ちなのか、当社の製品・サービスは、お客様の課題を解決できるのか、お役にたつのか、また、お客様がテレビ会議について学びたい情報を定め、関係者で一緒に作成して行ったことでした。
そのような過程を経て作成した情報をお客様に見つけてもらえる様に配置することで、驚くほどスムーズに見込客を創出でき、案件(商談)が創出され受注に繋がりました。この様な成功体験は、何もブイキューブだけではありません。
株式会社グローバルウェイ様へのご支援では、初めに営業、マーケティング、制作の皆様と一緒に、購買行動の振り返り、ペルソナ・カスタマージャーニーを作成しそれを基礎として、「マーケティングのリード獲得率を高める活動」「HubSpotの正しい活用」「案件化、商談化するための効率化」という3つの軸でご支援しました。
リード獲得数は半年で3倍増。アウトバウンド営業文化だった求人会社のBtoBマーケが成長している理由 | GAX (ガックス)
担当している製品やサービスの売上がなかなか伸びないといった課題をお持ちでしたら、ぜひ、関係者様と一緒にペルソナやカスタマージャーニーを作成し、ご自身の現状の取り組みと比較してみましょう。
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佐藤 岳
2000年より事業会社とサービス提供会社で営業、マーケティング担当者としBtoBマーケティングに従事し実績多数。2015年11⽉株式会社ブイキューブ⼊社。2016年4⽉〜2020年12月までマーケティング本部長として商談案件の創出を担当。コンテンツの企画制作、広告運⽤、アナリティクスを完全内製化し商談の創出、受注に貢献。得られた知⾒やノウハウ・ドゥハウを提供するBtoBマーケティング総合⽀援サービスGAX(ガックス)を2020年1⽉より提供開始。