by 佐藤 岳 on 21/10/04 0:00
BtoBマーケティングに従事されている方のお悩みや疑問に、一問一答形式でお答えしていく『BtoBマーケターのためのお悩み相談室』。
20年以上BtoBマーケティングに携わり、様々な企業の事業成長をサポートしてきたBtoBマーケティング支援事業『GAXマーケティング』代表取締役の佐藤岳が、回答いたします。
コロナ禍になりリードが激減。広告運用やコンテンツマーケティングなどの既存施策に加え、オンラインイベントやウェビナーなどリード創出のために新たに考えられる施策を実行し、それなりにリードの創出ができるようになってきました。しかしインサイドセールス側で案件化が出来ずに困っています。どうしたらいいでしょうか?
「インサイドセールスでの案件化がなかなかうまくいかない」というケースは多くは、獲得したリードがカスタマージャーニーマップにおける、どのフェーズのリードなのかを把握できていないことが要因です。
みなさんの会社でもペルソナやカスタマージャーニーを作成し、それに沿ったコンテンツを作成したり、発信することで見込客を獲得し、インサイドセールスの皆さんがフォローしていることでしょう。そこで、もう少し注意深くカスタマージャーニーを見てみましょう。
カスタマージャーニーの各段階における、買い手(お客様)の状態や感情と、売り手(みなさん)がお客様と接触するポイントやCTAを整理してみました。
インサイドセールスの皆さんが、フォローしても結果につながらない「リード」は、(買い手の)カスタマージャーニーのどのフェーズの施策でしたか?
もしかしたら、「課題の気づき」や「情報収集」フェーズで獲得した「リード」にインサイドセールスの皆さんがフォローしていませんか?
お客様の視点で考えてみましょう。何か課題が判明し、解決策を探している状況のお客様は、製品やサービスを理解する目的や、解決策を学習する目的で解決策のガイドブック、 Ebookをダウンロードしているとします。
そのような状態のお客様は、「解決策について学んでいる状態」です。そのような状態のお客様に、インサイドセールスがフォローして案件化を目指しても、お客様のニーズと一致していなため、案件化は難しいでしょう。
なぜなら、検討初期フェーズのお客様はまだ比較検討・導入検討フェーズに至っていないため、詳しい話を聞きたいというモチベーションではないからです。
そのため、獲得したリードは、インサイドセールスが追いかけるべきリードであるのかどうか、もし追いかけるべきでないリードであれば、お客様のフェーズに応じたリードナーチャリングができているのかどうか、インサイドセールスの前段のマーケティング活動から見直すことが求められます。
そこでまずは既存のコンテンツや施策をリストアップし、それぞれのコンテンツ、施策の想定ターゲットがどういったユーザーであるかを洗い出してみましょう。案件化率に課題がある場合の多くは、それらのコンテンツや施策が情報収集フェーズのユーザー向けばかりということがほとんどです。
そのため、適切なリードナーチャリングのためには比較検討層向けのコンテンツや施策を増やすことが大切です。
なお、TOM Martin は、著書 INVISIBLE SALE で、BtoBバイヤーを Self-Educating Buyers(自ら学ぶ購買者)と定義しました。自ら学ぶ購買者は、解決策を学ぶためのマテリアル(素材)を求めている。要するに教材を欲している。そのような購買者に対して売り手は、Selling(売り込む)のではなく、Helping(支援する)ことが大切だと述べています。
カスタマージャーニーで、「課題に気づき」「解決策の情報収集」している購買者にいくら売り込んでも案件化しない訳です。
そのため、課題に気がついたお客様は自ら解決策を探すための調査を行うため、そうした課題に対する解決策を提示するようなコンテンツを発信していき、ナーチャリングを行うことが重要なのです。
そして、「もっと詳しい話を知りたい」と思っている比較検討フェーズ向けのコンテンツに、無料相談であったり、解決手法ウェビナーや問い合わせといったCTAを設置し、そのCTAからのリードに対してインサイドセールスがフォローすることが理想です。
つまり、情報収集フェーズと比較検討・導入検討フェーズのコンテンツで一律のフォームを設置することは避けるべきでしょう。フェーズに応じた必要な最低限の項目を取得することが、お客様にとっても不必要な情報を収集されないという安心感につながると考えます。
なお、フォローに関してちょっとしたポイントがあります。たとえばセミナーにお申し込みいただいた方に対して、いきなり営業スタンスでお話をするのではなく、「セミナーで特にどういったことが知りたいですか? セミナーをより良いものにするために、ぜひ教えていただけませんか?」といった聞き方でセミナー前にフォローを行うのです。
そうすると、たとえインサイドセールスからの突然のお電話であっても、気持ちの良いコミュニケーションとなり、セミナー後にも「セミナーはいかがでしたか?」といったスムーズなコミュニケーションがとれるようになります。こういったトークシナリオの工夫もぜひ行ってみると良いでしょう。
最後に、以前に私が実際にブイキューブのインサイドセールスをどう立て直したのかをご紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
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