2021.07.07
「セミナー」の3週間後には注文書が届いた実話!インバウンドの次に案件化率の高いセミナーの取り組み
- BtoBマーケティング
こんにちは、東証1部上場企業のブイキューブで、BtoBマーケティング支援サービス『GAX』責任者を務めている佐藤岳です。
私は2015年11月にブイキューブへ入社、ゼロからBtoBマーケティングの推し進めていき、2020年にはマーケティング活動からの新規受注を2016年比で9倍成長を実現。そうした経験から得られた知見やノウハウを提供するサービスとして、2021年1月からGAXの提供を開始しています。
そしてこれまでの記事では、実際に私がブイキューブで取り組んできたことを課題やTipsを交えながらご紹介しており、前回はオフライン施策としての「展示会マーケティング」についてご紹介いたしました。
今回はオフライン施策の第二弾として、「セミナーマーケティング」についてご紹介。セミナーを開催しているものの案件化には結びついていなかったブイキューブでの実例を交えながら、セミナーマーケティングを成功へと導く4つのポイントをご紹介いたします。
「セミナーならではのコンテンツとは何か」を考えること
ブイキューブでの事例をお話する前に、セミナーマーケティングを進めていく上での原体験となった私自身のお話をご紹介しましょう。さかのぼること2001年、私はトレンドマイクロ株式会社にてBtoBマーケティングを担当していました。
当時、私はコンピュータ・ウイルス対策に関するセミナーの企画および講師を務めることとなり、セミナーの告知から当日のプレゼンまで自分なりに企画して進めました。初回のセミナー終了後のアンケートでは参加者からの厳しいフィードバックをいただきました。
アンケートには、次のようなことが書かれていました。“ウイルス対策の専門企業として、この場でしか得られない情報があるのかと思ってきてみたら、セミナーの内容はネットで書かれているようなことだけだった。セミナーの内容にがっかりした。”
それは私にとっては非常にショックでもあり、大きな気づきで、セミナーならではのコンテンツとは何かを考える大きなキッカケとなりました。
お客様からのフィードバックをふまえ、あらためてセミナーの内容を練り直しました。新しいセミナーでは、実際に企業ネットワークへウイルスが侵入したら対策製品はどのように挙動するのかをデモンストレーションするような内容にしました。
もちろん、本物のウイルスではなく、デモ用のデータを使います。会場には以前厳しいフィードバックをいただいたお客様も来場されていましたが、終了後のアンケートでは「自分が聞きたかったことはこういうこと。改善してくれてありがとう」と感謝のお言葉をいただけました。
それ以来、私はわざわざ足を運んでくださる来場者の方のためにも、オンラインで提供する製品やサービスに関する学習コンテンツとは別に、セミナーに来ないと見れない、聞けない、体験できないことを伝える場として設計することを重視するようになりました。
ときは流れ、私がブイキューブに入社した2015年、当時のブイキューブではセールスフォース・ドットコムとの共催セミナーであったり、著名人講師を招いたセミナーなど、月1のペースで何かしらのセミナーを開催していました。
有名企業や著名人講師を起用したセミナーであったこともあり、セミナー自体の参加者数は200人を超えるなど毎回多くの人が集まっていました。しかし、セミナーから案件化には繋がっていない状況でした。
今考えれば当然の結果です。なぜなら、セミナーのテーマやトピックには興味あるものの、セミナーの内容がブイキューブの製品やサービス導入検討に繋がるような内容でなかったからです。
そこで私の経験も活かし、あらためてブイキューブだからこそ提供できるコンテンツは何か、セミナーに来れないと得られない情報はどういったものかといった視点で改善していきました。
まず開催したのが、ブイキューブの製品であるテレビ会議システムの体験セミナーでした。当時のテレビ会議システムのリモコンは、テレビのリモコンよりもボタンが多いなど、システムの利用者にとってハードルが高い存在でした。
そこでブイキューブの製品であれば簡単にテレビ会議ができることを伝えるべく、各テーブルに製品を設置。実際に電源を入れてテレビ会議を開始し、相手先として和歌山県にいるデモメンバーが対応する形で、製品を体験していただく内容でした。
また各テーブルには、インサイドセールスのメンバーがサポート役として張り付き、その場での質問対応やより詳細な製品紹介を実施。セミナーに参加しないと体験できないコンテンツでかつ、製品に結びつく内容から、セミナー後にそのまま商談がはじまるケースもありました。
その後も、ブイキューブの別製品の体験セミナーを実施していきました。また、あるときは「Web会議と併用されているケースが多い」ということで、オンラインオート共有サービスであるEvernote社と共催セミナーを実施。
札幌、東京、名古屋、大阪、博多の5会場で同時開催し、各会場のお客様同士をWeb会議システムで接続、そしてご自身の端末にEvernoteをインストールしていただき、講演の内容をEvernoteでメモを取ってもらいました。また、各会場でWeb会議の悩みを議論し、最後に各会場から代表1名がそれぞれの議論の内容を発表するといった形で進めていきました。
このセミナーでも、参加者からの評価は非常に高く、効率的なWeb会議を体感できてよかったといったコメントもいただき、利用を検討しはじめる来場者の方も多くいらっしゃいました。
セミナーから3週間後には注文書が届く結果に。他の施策と比べても案件化率が高い施策へとなっていった
2016年からセミナーマーケティングの改善を推し進めていき、2016年2月24日に開催した体験セミナーでは、来場されたお客様から3週間後の2016年3月14日に注文書が届いたのでした。
なお、当時は営業と一緒になったペルソナ、カスタマージャーニーの作成にも取り組んでおり、詳細は下記ページにも書いていますので、ぜひ参考にしてみてください。
その後、セミナーの開催頻度も増えていき、2018〜2019年は週3ペースで開催。最終的に2018年は95回、2019年は102回ものセミナーを開催しました。
なお、企画によってセミナーの参加人数は異なりますが、10名程度の参加者に対しておよそ半分は案件化するなど、セミナーの案件化率はeBookのダウンロードなど他の施策に比べても非常に高く、ブイキューブにとっては重要な施策のひとつとなりました。
また、前回ご紹介した展示会マーケティングと合わせて、展示会来場者向けのフォローアップセミナーも開催。展示会に来場されたからセミナーへお申し込みされる方が多く、セミナー申込後に案件化するケースが多くあります。
「セミナーマーケティング」を成功させるための4つのポイント
では、具体的にどういったポイントに気をつけてセミナーマーケティングを推し進めるべきか、成果に繋がるセミナーマーケティング実施のための4つのポイントをご紹介いたします。
【1】ネットで探せば出てくる情報をコンテンツ化しない
上述の通り、セミナーならではのコンテンツとは何かを考えることが非常に大切です。ネットで探せば出てくるような情報はブログで発信すべきであり、講義形式で伝えても来場者の時間を奪うことになるだけで、満足度の高いセミナーとはなりません。
ではセミナーならではのコンテンツとは何かと言うと、体験を提供するコンテンツです。オフラインならではの体験をいかに設計するかが重要で、来場者はわざわざ時間をかけてセミナーに参加されるわけですから、専門家としての知見を共有しつつ、実際に製品を利用してもらい、課題を解決する体験を提供すること。
そうすることで実際の使い方をイメージしてもらえるため、導入検討にも繋がりやすく、案件化率の高いセミナーへとなることでしょう。
【2】認知拡大ではなく、案件化を目的とすること
セミナーマーケティングは、認知拡大を目的とするのではなく、案件化を目的としたほうが良いと考えます。過去のブイキューブの課題もそうでしたが、著名人を招いたセミナーの場合、参加者の多くは「著名人の方のお話を聞きたい」と思って参加されているため、自社製品に興味がある方というのはほとんどいらっしゃいません。
そうしたセミナーは来場者が多く集まるため、認知拡大に繋がるのではと考えてしまいがちですが、来場者の態度変容を引き起こす設計がされていない限り、認知拡大を目的とするのは費用対効果の良いセミナーとはなりにくいでしょう。
そのため、ブイキューブでは案件化を目的にセミナーを設計しており、セミナー集客も基本的にはリード顧客へのメール配信が中心です。ある程度検討段階に進んだ方でない限り、案件化目的のセミナーへは興味を抱きづらいため、過去に広告での集客も行いましたが、広告からの参加者はほぼゼロに近しい形でした。
なお、メール配信先となるリストも、マーケだけで決めるのではなく、営業がいまほしいお客様はどういったお客様かを把握し、どういったお客様向けのセミナーを実施するかを営業と連携して進めるべきです。
【3】セミナー開催前後に適切なフォローアップを行うこと
ブイキューブではセミナー参加申込みフォームにて、セミナー参加の目的やセミナーで聞きたいことなどをヒアリングするようにしており、さらに申込みをされた方に対して、事前にインサイドセールスからフォローアップのご連絡をしています。
事前のフォローアップは、お客様の期待値に沿ったセミナーを開催するためには非常に重要であり、実は嫌がられることもなく、そのままセミナー開催前に案件化するケースもあります。
そしてセミナー当日も、お客様の体験品質を向上させるべく、インサイドセールスがお客様対応を行い、セミナー後のアンケートでは理解度や満足度、そしてBANT情報をしっかりとヒアリングし、より精度の高いフォローアップができるよう進めます。決してやりっ放しのセミナー開催だけにはならないよう、注意しましょう。
【4】配布資料もしっかりと用意すること
展示会マーケティングの記事でもお伝えしましたが、来場者への配布物はノベルティではなく、自社の製品カタログや導入事例、eBookなどの小冊子にすべきです。
セミナーテーマに合わせた配布物にすることで、すぐに案件化しなくても、来場者の方に自社製品のことを思い出してもらうためのキッカケとなり、お客様からお客様のタイミングで連絡をしてもらうことに繋がります。
こちらは、建設業界向けのeBookですのサンプルです。
建設業界の人材不足解消ソリューションeBook(PDF)をダウンロードできます。
このeBookのつくり方についても別の機会で記事を書きますが、このeBookは Microsoft Word で作成しています。こうしたものを印刷してセミナー来場者にお配りすれば、お客様の企業内でも回し読みしてもらい、製品の導入検討に繋がっていくことでしょう。
おわりに:主流となっているウェビナーにおいても、いかに体験を提供するかを考えること
昨今はリアルセミナーだけでなく、ウェビナーを開催する企業も多いでしょう。その場合でもセミナーと同様、「ウェビナーでしかできないことは何か」を考えることが大切です。
また、ウェビナーもはじめから終わりまで、すべてをライブでやる必要はありません。テレビ番組でも「まずはVTRをご覧ください」といった形で映像が流れ、その後にコメンテーターとのディスカッションが始まったりしますよね。
同じように講義パートは収録動画を放映し、ハンズオンのパートはライブでコミュニケーションを取るといった方法もひとつです。双方向性のあるコンテンツがあることで、ウェビナー参加者に対して体験を提供することができるでしょう。
そうしたセミナーやウェビナーの企画であったり、インサイドセールスでのフォローアップ含め、GAXではコンサルティングも行っておりますので、お気軽にご相談ください。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
佐藤 岳
2000年より事業会社とサービス提供会社で営業、マーケティング担当者としBtoBマーケティングに従事し実績多数。2015年11⽉株式会社ブイキューブ⼊社。2016年4⽉〜2020年12月までマーケティング本部長として商談案件の創出を担当。コンテンツの企画制作、広告運⽤、アナリティクスを完全内製化し商談の創出、受注に貢献。得られた知⾒やノウハウ・ドゥハウを提供するBtoBマーケティング総合⽀援サービスGAX(ガックス)を2020年1⽉より提供開始。